2018/05/15
若年層の自殺防止についての講演に参加してきた。
何度かこの手の研修に参加したが、僕はすぐに忘れてしまうので、記録として残すことにする。
この 講演内容の「脳科学」や「教育」については、無知であるので、多少の記憶違い、知識の誤りはご勘弁を・・
1 若年層の自殺率の増加
思春期は一生の中で 身体的に、最も健康な時期であるが、近年、児童期から思春期にかけて死亡率や疾病の罹患率が増加してきている。
また、若年層の「感情のコントロール」や「行動のコントロール」に起因する問題も増加してきている。
例)自殺 うつ病 拒食症 過食症 飲酒 薬物 タバコ STDs 恵まれない妊娠
2 大人になると言うことは、
大人になると言うことは、
肉体的な面では、加齢に伴い自然発生的である。
社会的な面では、自己に対する安定した認識の獲得である。
精神的な面では、所属社会への適応することである。
最近の若年層は、20代後半まで精神面で思春期から抜け出せない傾向にる。
余談であるが、厚労省統計基準では、35歳ぐらいまでを若年層と見ているようである。
(若年層の範囲が広がったのは、平均寿命や高齢化が関係しているようようだ。)
3 脳は5歳から20歳ぐらいまでにかけて成熟する。
脳は5歳から20歳ぐらいまでにかけて成熟する。
脳が成熟するまでは、脳全体が「感情」「行動」を完全にはコントロールできない状態にある。但し、個人差はある。
そのため、思春期にはいろいろな心の病気が現れ、発病の形式や病状の経過は様々で、定式を描くことが難しい。
4 若年層の鬱病の発症は、14歳ぐらいから始まることが多い
若年層の鬱病の発症は、14歳ぐらいから始まることが多い、その後、治っては、再発を繰り返し鬱病の発症者数のピークは35歳から40歳までの間
また子供(若年)の頃の鬱病は、大人の鬱病のイメージとは異なり「長い睡眠」と「過食」の症状が出る。
第三者(親など)から見て、ダラダラしているように見えるが、それは鬱の症状である可能性もあるという。
5 我が国の自殺者数の推移
前年まで2万4千人だった数が平成9年にグッド上がり3万2千人以上となった。
それから14年程度、3万人以上の自殺者数
平成24年にやっと3万人を下回った。
自殺予防対策の効果か否か、現在は2万6千人から7千人ぐらいだろう。
但し、若年層の自殺は依然として減少していない。
平成24年の10代の死因の統計によると、10代の死亡者の約3人に1人は自殺による死亡である。
6 自殺した児童生徒が置かれていた状況
第1位が進路問題
第2が家庭不和
第3位が父母の父母等の躾(虐待?)
第4位が学業不審、厭世、精神障害
因みに、隠れたダントツ第1位が「不明」である。
7 自殺の原因動機
第1位が学校問題
第2位が健康問題
第3位が家庭問題
第4位が精神疾患、学業不振
8 今、問題となっている「いじめ」について
自殺の直接の原因としての「いじめ」欄は、意外と少なかった。
ただ、「いじめ」が直接の原因ではないが、「いじめ」が精神的な疾患を悪化させる影響があるとのこと。
「いじめ」の被害者が「いじめ」の加害者になる。
そういった良く聞くケースでは、精神疾患を発症している可能性があるので要注意ということである。
9 いじめを受けた長期予後
長期予後という言葉をはじめて聞いた。
子供の頃の「いじめ」「虐待」が過度のストレスとなり、20年30年後まで、身体に精神疾患を伴う長期的な影響を与える。
「DNAのメチル化」により?
ホロコーストの子供達は、ADHDの子供の割合が高い
(脳科学のことはあまりわからないが、)「いじめ」「虐待」の過度のストレスが、長い時間かけて人間の遺伝子レベルで影響を与えるらしい。
どうも、その遺伝子レベルの影響が、次の世代の子供達へも影響を及ぼすというのである。
10 自傷について
なぜ自分を傷つけるのか?
パーセンテージが高いのは「イライラを抑えるため、不快感を軽減するため」のようである。
その次パーセンテージが高いのが他者に「自分の辛さ」をわかって欲しくて。
「死にたくなって」というケースもあった。
11 自傷行為の鎮静効果
自傷行為、リストカットは、鎮静効果、麻薬的な効果もある。
一度リストカットをすると、最初は浅い傷でも、体の痛みにより、心の痛みを忘れ、爽快感を得る。
だが、繰り返すうち、体の痛みはドンドン慣れていき、浅い傷では心の痛みが癒やされなくなる。
爽快感を得るため、傷も深くなり回数も増えていく。
それを繰り返すことによって死に至るという話である。
12 子供が自傷行為に至った時、不可解な行動をした時
子供が自傷行為に至った時、不可解な行動をした時
何でそんなことをしたのか?
その理由については問い詰めない方がいい。
なぜなら先ほども話したように脳のつくりが根本的に大人とは違うのだから。
自分でも何でそんなことしたのかは分かっていない。
そんな場合は、「なんで」と問い詰めるのではなく、どんな感情からそのような行動に出たのか、「今の気持ち」を分かってあげることが大切。
繰り返しになるが、元々、大人と子供の脳の作りが違うのだから、それだけ差があるのだから。
自分の思春期のことを思い出せば、理解できると思う。
みんな、若い頃は、いっぱい周りの人に迷惑かけたでしょう?
子供たちの全てを理解することはできない。
繰り返し言うが、脳が未成熟なのだから。
当然、大人同士の会話のようには伝わらない。
講演に参加した学校の先生の話によれば、生徒が遺書を書き、大騒ぎしたケースもあるらしい
子供が自傷行為を行った後に lineしたりするケースも見受けられるそうである。
最後に講演の感想
講義のなかで「いじめ」「虐待」などの過度のストレスは、自殺の直接的な原因とはならないが、間接的に精神疾患を悪化させ原因となり自殺に至ると説明していた。
なんとなく違和感があったが、結局のところ直接であろうが、間接であろうが「いじめ」「虐待」も自殺に追い込む原因になるのではないだろうか。
よく「直接の原因はいじめが原因ではない」と言い訳がましく教育委員会や学校側の見解が報道されているが、その意味が良く分かった。
「いじめ」「虐待」は、長期にわたり心身にストレスを与え、遺伝子レベルで人間を蝕むそれが次世代へも受け継がれる。
ひどい話だ。
リストカットをなどの行為を抑止するための代替行為としての対処方法が紹介されていた。
例えば、いい香りの香水を嗅ぐとか、ゴムパッチン?をしてみるとか・・
なかには、 youtube で残虐な映像を見て精神を落ち着かせるという子もいるという。
んっ?
児童犯罪を起こした加害者が猫などを解剖していたなどの報道が脳裏に浮かんだ。
いずれにして、も「いじめ」「虐待」そういった過度のストレスは人間を蝕むことが分かった。
しかし、このストレスだらけの社会の中で、僕達はどう生きていけばよいのだろう。
特に、子供の社会は小さい。家庭と学校、友達付き合いぐらいなもの。
大人であれば、つらい場所(職場、地域)から自分の意思で転職などの方法で逃れる選択肢はある。
しかし、子供は、つらい場所(学校、家族)から逃げる方法は余りに少ない。
それでも、子供は未発達の脳を一生懸命働かせて様々なことを考え、吸収しているのだから、わけが分からなくなるのも無理ない。